現在、多くの金融機関で行われている投資信託のセールスは、経済イベントや市場の先行きを予測して値上がりが期待できそうな資産クラスの商品を購入してもらう「相場観に基づく営業手法」が中心です。資産運用ビジネスの目的を「金融機関の利益最大化」から「顧客の利益最大化」に据えるならば、「相場観に基づく資産運用」は最適解でなくなり、世界全体の市場が上昇する資本主義の成長メカニズムに依拠する「長期・分散・積立」投資戦略が最適解となるはずです。
当ゼミでは、金融機関がこうしたビジネスモデルの転換を図らない限り、日本の家計金融資産に「r」は永遠に届かないものと考えております。「長期・分散・積立」投資の普及は、短期的には金融機関の収益に減少をもたらすことになるでしょうが、長期的には「売り手よし、買い手よし、世間よし」の長期産業均衡点に到達する近道になると確信しています。